海運業界はやめとけと言われる理由5個!就職・転職を考える前に知っておきたいポイント

キャリコン

海運業界と聞いて、どんなイメージを持ちますか?大型船舶で世界中の海を渡る、スケールの大きな仕事。確かに魅力的に見えますが、実は「やめとけ」という声も少なくありません。

この業界には一般的な会社員とは大きく異なる働き方があります。たとえば、船に乗って何ヶ月も海の上で過ごす海上職や、24時間体制で世界中の船舶を管理する陸上職など。想像以上に厳しい現実が待っているのです。

でも、なぜそんなに「やめとけ」と言われるのでしょうか?今回は海運業界のリアルな現状を、働く人の声や業界データをもとに詳しく解説します。就職や転職を検討している方は、ぜひ最後まで読んでみてください。きっと知らなかった海運業界の真実が見えてくるはずです。

目次

海運業界って実際どうなの?「やめとけ」と言われる理由を深掘り

海運業界の厳しさは、まず働き方の特殊性から始まります。普通の会社では考えられない労働環境が、多くの人を悩ませているのです。

1. 激務すぎて体がもたない?残業時間の実態を見てみよう

海運業界の残業時間は、他業界と比べて圧倒的に多いのが現実です。特に陸上職では月80時間を超える残業が珍しくありません。

なぜこんなに残業が多いのでしょうか?実は、船舶の運航は24時間365日止まることがないからです。たとえば、深夜2時に台風で船が緊急事態になったら、すぐに対応しなければなりません。世界中の時差に合わせて電話会議をすることも日常茶飯事です。

商船三井や日本郵船などの大手海運会社でも、この問題は深刻です。ある社員は「土日も関係なく電話が鳴る。船のトラブルは待ってくれない」と語っています。

職種平均残業時間(月)主な業務内容
陸上職(運航管理)80-100時間船舶の運航スケジュール管理、緊急対応
陸上職(営業)60-80時間顧客対応、契約交渉
海上職(航海士)労働時間の概念なし船舶での24時間勤務体制

ただし、近年は働き方改革の影響で改善傾向にあります。しかし依然として他業界より負担が重いのは事実です。

2. 休みたい時に休めない?働き方の特殊事情

海運業界で最も大変なのは、休暇の取りづらさかもしれません。特に海上職の場合、一度船に乗ったら数ヶ月は陸に上がれません。

実は、海上職の働き方は一般的な会社員とまったく違います。たとえば、6ヶ月間船で働いて、その後3ヶ月間の長期休暇を取るという特殊なサイクルです。この期間中は家族と離ればなれになります。結婚式や子どもの入学式などの大切なイベントに参加できないことも珍しくありません。

陸上職でも状況は厳しいものがあります。船舶のトラブルや荷物の遅延が発生すると、予定していた休暇をキャンセルしなければならないことがあります。「明日から旅行の予定だったのに、急に呼び出された」という話はよく聞きます。

ここで注意したいのは、この働き方が家族関係に与える影響です。特に小さな子どもがいる家庭では、パートナーの負担が非常に大きくなります。実際に、海運業界で働く人の離婚率は他業界より高いというデータもあります。

3. 将来性が不安?業界の先行きを考えてみよう

海運業界の将来性について、多くの人が不安を感じています。その理由は、業界の構造的な問題にあります。

まず、海運業界は非常に景気に左右されやすい業界です。世界経済が好調な時は荷物の量が増えて儲かりますが、不況になると真っ先に影響を受けます。リーマンショックやコロナ禍では、多くの海運会社が大幅な赤字に転落しました。

また、自動化の波も押し寄せています。将来的には無人船の技術が発達し、船員の数は大幅に減る可能性があります。実際に、一部の航路では既に自動運航の実験が始まっています。

しかし、すべてが悲観的というわけではありません。世界貿易は長期的には拡大傾向にあり、特にアジア圏の成長は海運業界にとって追い風です。ただし、業界で生き残るためには、より高度なスキルや専門知識が必要になってくるでしょう。

海運業界ならではの厳しさって何?

海運業界には、他の業界では考えられない独特の厳しさがあります。それは業界の構造そのものから生まれる問題です。

1. 世界情勢に振り回される?景気の波に左右される仕事

海運業界は世界情勢の影響を直接受ける業界です。たとえば、スエズ運河で座礁事故が起きると、全世界の物流に影響が出ます。ウクライナ情勢のような地政学的リスクも、運賃や航路に大きな変化をもたらします。

実は、海運業界の収益は「運賃」によって大きく左右されます。好況時には運賃が急上昇して大儲けできますが、不況時には運賃が暴落して赤字になることも珍しくありません。この激しい変動が、働く人にとって大きなストレスになります。

時期主な出来事業界への影響
2008年リーマンショック運賃急落、大量リストラ
2020年コロナ禍物流混乱、運賃急上昇
2021年スエズ運河座礁世界的な物流遅延
2022年ウクライナ情勢エネルギー輸送の混乱

ここで注意したいのは、この不安定さが個人のキャリアにも影響することです。景気が悪くなると、昇進の機会が減ったり、ボーナスがカットされたりします。長期的なキャリアプランを立てにくいのが現実です。

2. 高学歴じゃないと入れない?就職のハードルが高すぎる問題

海運業界、特に大手3社(商船三井、日本郵船、川崎汽船)への就職は非常に困難です。これらの会社は高学歴の学生しか採用しない傾向があります。

実は、海運業界は「高給・安定」というイメージから、就活生に非常に人気があります。しかし、採用人数は極めて少ないのが現実です。たとえば、商船三井の陸上職採用は年間わずか50名程度。数千人の応募者の中から選ばれるのは、本当に一握りの人だけです。

さらに、海上職の場合は商船大学や海事大学の卒業が必要です。これらの大学は全国に数校しかなく、入学すること自体が難しいのです。船員免許の取得にも時間がかかり、専門性の高い職種といえます。

ただし、中小の海運会社やフェリー会社では、大手ほど厳しくない場合もあります。海運業界で働きたいなら、視野を広く持つことが大切です。

本当にやめた方がいい?海運業界で働く人の本音

実際に海運業界で働く人たちは、どんな思いを抱いているのでしょうか?リアルな声を聞いてみましょう。

1. 実際に働いている人の声を聞いてみた

OpenWorkなどの口コミサイトを見ると、海運業界で働く人の本音が見えてきます。多くの人が共通して挙げるのは「やりがいは大きいが、プライベートとの両立が難しい」という点です。

ある商船三井の社員は「世界を相手にした仕事のスケールの大きさは魅力的。でも、家族との時間を犠牲にしている感覚がある」と語っています。また、「給料は良いが、時給換算すると決して高くない」という厳しい現実も明かしています。

一方で、海上職の船員からは「海の上での生活は確かに厳しいが、長期休暇があるのは魅力」という声もあります。普通のサラリーマンでは味わえない、まとまった休みを取れることを評価する人も少なくありません。

実は、海運業界で働く人の多くが感じるのは「責任の重さ」です。一つのミスが巨額の損失につながる可能性があり、常にプレッシャーと向き合わなければなりません。

2. 辞めた人が語る「こんなはずじゃなかった」

海運業界を辞めた人の転職理由を見ると、興味深い傾向が見えてきます。最も多いのは「ワークライフバランスの悪さ」で、次に「将来への不安」が続きます。

ある元海運会社社員は「入社前は『世界を舞台に活躍できる』と思っていたが、実際は深夜の緊急対応ばかりで疲弊した」と振り返ります。また、「昇進のチャンスが少なく、同じような業務を長年続けることになった」という声もあります。

特に女性社員からは「出産・育児との両立が困難」という意見が多く聞かれます。海運業界は依然として男性中心の職場であり、女性が働き続けるための環境整備が遅れているのが現状です。

ただし、転職先で海運業界での経験が高く評価されることも多いようです。「責任感」「国際感覚」「危機管理能力」などは、他業界でも重宝されるスキルです。

3. それでも海運業界を選ぶ人の理由

厳しい現実がある一方で、それでも海運業界を選ぶ人がいるのも事実です。その理由を探ってみると、この業界ならではの魅力が見えてきます。

まず挙げられるのは「仕事のスケールの大きさ」です。数万トンの貨物を運ぶ責任や、世界経済に直接関わる実感は、他の業界では得られません。「自分の仕事が世界中の人々の生活を支えている」という誇りを持って働く人も多いのです。

また、「高い給与水準」も大きな魅力の一つです。大手海運会社の平均年収は1000万円を超えることも珍しくありません。特に海上職の場合、長期乗船の対価として高額な給与が支払われます。

実は、海運業界で働く人の多くが「専門性の高さ」に価値を感じています。船舶の運航や国際物流の知識は、一朝一夕には身につかない専門スキルです。一度身につければ、業界内での転職は比較的容易になります。

海運業界に向いているのはこんな人

海運業界の厳しさを理解した上で、それでもこの業界に興味を持つなら、自分に適性があるかチェックしてみましょう。

1. プレッシャーに強くて責任感がある人

海運業界で最も重要な資質は「プレッシャー耐性」です。船舶の運航や貨物の管理には、常に巨額の責任が伴います。一つの判断ミスが何億円もの損失につながる可能性があるのです。

たとえば、台風が接近している中で船舶を出港させるかどうかの判断。安全を最優先にしつつ、お客様への影響も最小限に抑えなければなりません。このような重要な決断を、日常的に下す必要があります。

実は、海運業界で長く働いている人の多くが共通して持っているのは「冷静な判断力」です。緊急事態が発生しても慌てることなく、的確な指示を出せる人が重宝されます。逆に、パニックになりやすい人には向いていない業界といえるでしょう。

ここで注意したいのは、責任感が強すぎる人も燃え尽きやすいということです。適度に肩の力を抜ける「図太さ」も必要な資質の一つです。

2. 世界を舞台に大きな仕事がしたい人

海運業界の大きな魅力は「国際性」です。日本にいながら世界中の港や荷主と仕事をすることができます。英語でのコミュニケーションは日常茶飯事で、時差を意識した働き方も求められます。

実際に、海運会社の社員は世界各地に出張する機会も多くあります。シンガポールの船舶代理店を訪問したり、ヨーロッパの荷主と契約交渉をしたり。普通のサラリーマンでは経験できない、グローバルな仕事環境があります。

また、「物流」という世界経済の根幹を支える仕事に携わることで、社会への貢献実感も得られます。コロナ禍で改めて注目された「エッセンシャルワーカー」としての誇りを持つ人も多いのです。

ただし、この国際性は同時に負担でもあります。深夜の国際電話や、急な海外出張への対応力が必要です。「世界を相手にする」ということの現実的な厳しさも理解しておきましょう。

3. 専門性を身につけてスペシャリストになりたい人

海運業界は非常に専門性の高い業界です。船舶の構造、国際物流のルール、海上保険の知識など、幅広い専門知識が必要になります。この専門性こそが、海運業界で働く人の強みになります。

たとえば、危険物の輸送には特別な知識と資格が必要です。化学品や石油製品を安全に運ぶためのノウハウは、長年の経験によって身につくものです。このような専門知識を持つ人材は、業界内で高く評価されます。

実は、海運業界の専門性は転職市場でも武器になります。物流業界や商社、メーカーの物流部門など、関連する業界での需要が高いのです。一度身につけた知識とスキルは、キャリアの財産になるでしょう。

ここで重要なのは「学び続ける姿勢」です。海運業界は法規制の変更や新技術の導入が頻繁にあります。常に最新の知識をアップデートしていく意欲がある人が、長期的に成功できる業界です。

海運業界を目指す前にチェック!就職・転職のポイント

海運業界への就職や転職を考えているなら、事前に知っておくべきポイントがあります。後悔しないための準備をしておきましょう。

1. 陸上職と海上職の違いを知っておこう

海運業界には大きく分けて「陸上職」と「海上職」があり、働き方が根本的に異なります。どちらを選ぶかで、その後のキャリアと人生設計が大きく変わってくるのです。

陸上職は主にオフィスワークで、船舶の運航管理や営業、経理などの業務を担当します。普通のサラリーマンに近い働き方ですが、24時間体制での緊急対応が求められることもあります。給与は安定していますが、昇進競争は激しいのが現実です。

一方、海上職は実際に船に乗って働く職種です。航海士や機関士として、数ヶ月間船上で生活します。給与は陸上職より高く設定されていますが、家族と離れて過ごす時間が長くなります。

職種勤務場所平均年収メリットデメリット
陸上職オフィス600-1200万円家族と過ごせる激務、競争激化
海上職船舶800-1500万円高給、長期休暇家族と離ればなれ

実は、どちらも専門的な知識と資格が必要です。陸上職でも海事関連の知識は必須ですし、海上職なら船員免許の取得が前提になります。

2. 大手3社以外の選択肢も考えてみよう

海運業界というと、商船三井、日本郵船、川崎汽船の大手3社を思い浮かべる人が多いでしょう。しかし、実は中小の海運会社や関連企業にも魅力的な選択肢があります。

大手3社は確かに給与水準が高く、安定性もあります。しかし、採用倍率は非常に高く、入社後も激しい競争が待っています。また、転勤や海外赴任の可能性も高いのが現実です。

一方で、中小の海運会社では大手とは違った魅力があります。たとえば、新日本海フェリーのような内航海運会社なら、国内航路が中心で海外赴任のリスクは少なくなります。また、社員一人ひとりの裁量権が大きく、若いうちから重要な仕事を任される機会も多いのです。

実は、海運関連の企業も選択肢の一つです。船舶代理店、港湾運送会社、海運仲介業者など、海運業界を支える企業は数多くあります。これらの企業なら、大手海運会社ほど厳しい就職競争を避けながら、業界で働くことができます。

3. 転職する時に活かせるスキルは何?

海運業界での経験は、転職市場で高く評価されるスキルが身につきます。ただし、どんなスキルが転職に有利なのかを理解しておくことが重要です。

最も評価されるのは「国際感覚」と「危機管理能力」です。海運業界では日常的に海外とのやり取りがあり、緊急事態への対応も求められます。このような経験は、商社や物流業界、メーカーの海外事業部門などで重宝されます。

また、「責任感」と「プレッシャー耐性」も転職で評価されるポイントです。巨額の貨物を扱う責任感や、厳しい納期に追われる経験は、どの業界でも通用するスキルです。

身につくスキル転職先業界具体的な活用場面
国際感覚商社、メーカー海外事業の企画・管理
危機管理能力コンサル、金融リスクマネジメント
物流知識EC、小売サプライチェーン最適化
交渉力営業職全般顧客との契約交渉

ここで注意したいのは、海運業界の経験だけでは転職先が限られることもあることです。プログラミングやデジタルマーケティングなど、他のスキルも並行して身につけておくと、転職の選択肢が広がるでしょう。

まとめ

海運業界は確かに厳しい面が多い業界です。激務な働き方、世界情勢に左右される不安定さ、高い就職難易度など、「やめとけ」と言われる理由も理解できます。

しかし同時に、この業界にしかない魅力があることも事実です。世界を舞台にした仕事のスケールの大きさ、高い専門性、そして社会インフラを支えているという誇り。これらは他の業界では得難い経験といえるでしょう。

大切なのは、海運業界のリアルな現状を理解した上で、自分の価値観や人生設計と照らし合わせて判断することです。家族との時間を重視するなら向いていないかもしれませんが、グローバルな仕事にやりがいを感じるなら挑戦する価値があります。もし海運業界を目指すなら、大手だけでなく中小企業や関連業界も視野に入れて、幅広く検討してみてください。きっと自分に合った働き方が見つかるはずです。

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